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『ナイゲン』は、アガリスクを旗揚げした翌年に第3回公演として上演した作品で、おそらくは初めてちゃんと「物語」を意識して書いた台本でした。 そして初めて少し褒められて、若干調子に乗った公演でした。 高校時代から自主映画120本撮ってる自主映画作家の小野光洋さんは、初演を観てこんな感想を書いてくれています。
「十二人の優しい日本人」を思わせるディスカッション・コメディー。 ‘会議は踊る’のパターンの群像劇だ。 どうでもいい問題の重箱の隅をネチネチつついたり、規約にあまりに忠実すぎたりするバカバカしさ。
脚本がなかなかよくできている。笑うべきところで笑える。 ‘民主主義’や‘法令遵守’に対するアイロニカルな視点が効いている。 それでいて、‘三人集まれば文殊の知恵’的に、肯定的視点でしめくくるのも的を射ている。 「会議」には、いい面も悪い面もあるのだ。
一方で無駄と思える展開もそこかしこに見受けられ、正直上演時間2時間は長い。 せっかくだから、脚本を換骨奪胎し、演技面の練度も上げて、再演に挑んではどうだろう。 なんだかもったいない。
それにしても、高校時代は文化祭に意味なく燃えたものだ。 あの頃は、何でも楽しんでやろうという気概に溢れていた。 そんなことも思い出させてくれる芝居だった。
当時は「民主主義」やら「法令順守」を狙って書ける筆力など無かったのですが、この会議で体験したエピソードを落とし込んだら、自然と発現していたようです。 言ってみれば、高校3年間を使って書いた台本だったのかもしれません。
ただし、これはあくまで“見出してもらった”ものです。 高校時代などに同じような原体験を持つ人にだけ届いたものです。 あれから6年経ちました。 今度は意図して、みんなに伝わるように書けると思い、やっとこさ再演します。
高校生だの文化祭だの民主主義だの、こっ恥ずかしい要素満載です。 最近の意地悪シチュエーションコメディ路線からも外れるように見えるけど、この会議に関しては、この学校に関しては、ちょっと真っ直ぐにやらせてください。ちゃんとコメディにしときますんで。
ポイントは、シチュエーションコメディより笑える会話劇。 ライバルは、三谷幸喜氏の『12人の優しい日本人』。 どの面でかは知りませんが、心持ちとしては勝負です。ご期待下さい。 (Aga-risk Entertainment主宰 脚本・演出:冨坂友)